受講生、研修生、訓練生と別れるときは、
必ず「またね」という言葉を使う。
社会経験のない、少ない若者が通ってくるが、
彼らが通ってくるまでにたくさんハードルがある。
近所で人に会わないか、元同級生に会わないか、
怖い人に絡まれることはないか、電車の乗り継ぎは
どうしたらいいのか、場所まで時間どおりにつけるか、
そこの人はいい人だろうか、途中でおなかが痛くなったら
どうしよう・・・。などなど。
社会経験はないが、数少ない経験の中に、
不登校の経験や、いじめられた経験があれば、
その印象が大きな存在となるのもあたりまえ。
通所型支援の欠点は、そんな彼らに
‘自分で通ってもらわないといけない’ということ。
だから、本人が初めて電話をくれたときには、
「電話してくれてうれしい」という気持ちを伝える。
その人がどれほどの勇気を振り絞って電話をくれたのか、
そこに思いをはすからだ。
親や親戚、学校の先生や、保健士さんなどが
本人の代わりに電話をくれるときがある。その時は、
「最初は一緒にきてくださってもいいのですが、
できればくるまえにアポイントを自分で取る電話を
してもらえるように本人さんに伝えてください。」と
なるべく丁寧に伝える。
その理由は簡単。
事実として自分でアポイントを取れない人が
講習に継続して通いつづけられる事はないからだ。
家族以外と接する機会のない人が知らない人に
電話をするハードルは確かに高い。だから、
そのハードルを前にして、彼らは葛藤する。
その葛藤が乗り越えられるか、乗り越えられないかは、
今の状況から何とかしたいという思いの差だと
僕は考えている。自分の力で乗り越えていこうという思い、
そして、乗り越えられる力のある人は電話ができる。
僕が今支援できる人はこのタイプの人です。ということを伝えているのだ。
最初の電話で親御さんなどには、
「自分の力で乗り越えていくタイミングにある人が
うちには向いています」ということを伝えなければならない。
そうはいっても、親御さん達だって必死の思いで
電話をしてきてくれている。だから、
「私たちの活動、親御さんの思い、ご本人さんの思い、
それぞれが前向きで、いいことをしていたとしても、
途中でこれなくなってしまうと、本人さんが、
やっぱりダメだったと思うと思います。もうこれ以上
失敗体験はできない。タイミングがずれるだけで
めちゃくちゃになってしまうケースがあるんです。
うちは、年二回やっています。本人さんがこれる
タイミングはきっときます。」と。そして、
「くれぐれもご本人さんによろしくお伝えください」と
いって電話を置く。
親御さんたちを通じてしか当面の情報収集のできない
彼らには、その通じてからの印象がとても大切。だから、
こちらの本当の気持ちが伝わるように思いを込める。
もう一度書くが、通所型支援の欠点は、そんな勇気を
振り絞って全開エンジンで出てきてくれている彼らに
‘自分で通ってもらわないといけない’ということ。
せっかく一度きてくれても、もう一度あえる保証は
どこにもない。
だから、お別れするときには、思いを込めて見送る。
「バイバイ」「さよなら」と別れてそれっきりあえなくなって
しまったケースもいっぱいある。
だから、僕は「またね」という言葉を使う。
次にまた君とあいたいよ、という気持ちをのせて。
こちらの気持ちを押し付けずに、こちらの気持ちを
伝える大切な言葉。「またね」。
井村良英
A´ワーク創造館 TEL06-6562-6142
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