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Nothing

夜、出張から帰って、
 何気なく、テレビを見ていた。

 すると、サッカーのワールドカップで
 線審を務めた日本人審判員の方が
 インタビューに答えていた。

 線審の主な仕事に、オフサイドの
 判定がある。判定次第では、試合 
 を決することもあるきわめて責任の
 重い仕事だ。

 では、線審はオフサイドを判定する
 とき、どこを見ているのか。両チームの 
 選手をバランスよく見ているのか。

 そうではない。
 
 その線審の方は、
 
 「どこもみていない」

 と答えていた。経験を積めば
 それができるようになるのだという。

 とても印象的だった。ボクはやった
 ことがないけれど、どこか武道に通じる
 ところがあるかもしれないと思った。
 
 複雑な判断を瞬時に、かつ適切に下す
 ためには、どこをみるべきか。

 どこもみない。

 何か大切なことを示しているように感じた。
 

2011年10月

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