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希望学第2巻『希望の再生』刊行

 
 いよいよ、希望学第二巻『希望の再生』が
 刊行される。

 http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-034192-9.html

 釜石は2006年から何度訪れたか、わからない。
 鉄の街として繁栄し、ラグビー七年連続日本一という偉業により、
 全国にその名をとどろかせるなど、釜石はかつてまぎれもなく
 「地方の希望の星」だった。釜石は現在、人口減、高齢化、
 産業構造の転換など、日本に迫り来る近未来を一身に
 体現している地域である。

 本書と来月刊行の第三巻『希望をつなぐ』は
 釜石に多くの希望学研究者が何度も赴き、
 希望の再生に向けて行動する人々と対話を積み重ねた
 記録だ。

 〇

 朝9時15分、東京駅発の東北新幹線に乗ると、
正午少し前には岩手県の新花巻へ到着、そこから
在来の釜石線「快速はまゆり」に乗り換える。
午後1時半過ぎには釜石に到着する(時刻表は2006年当時)。

 映画を観るのも、会社の会議も、疲れないのは、
せいぜい長くて2時間迄というのが、せわしい近頃の世間相場だ。
釜石を最初に訪れたとき、この4時間強の電車の旅、正直、遠いと感じた。
が、不思議なことに、何度も繰り返すうち、この小旅行、長いどころか案外、
快適な時間に思えてくる。

 ゆったりと朝寝を決め込む。何をすることもなく、ただ外を眺める。
すると、むしろ贅沢な時間を過ごしている気分になる。
電車の程よいスピードと相まって、日頃の心の疲れが洗い流されるような
感覚をおぼえて心地いい。

 東京大学社会科学研究所(通称「東大社研」)は、
希望と社会の関係を考える希望学という研究を、2005年から始めてきた。
生活、経済、歴史、文化など様々な面から希望を実践的に考えるのに
適した地域を求めながら、2006年1月、私たちははじめて釜石に辿りついた。
そのときの印象を、同行した宇野重規は、緊張しつつ訪ねたけれど、
結局なんだかいつも「笑ってばかりいた気がする」と、当時のメモに書いている。

 春先なら、釜石線や新しく開通した道路で仙人峠を越えるとき、すがすがしい
新緑が迎えてくれる。冬になると、峠から吹き下ろす風こそ冷たいものの、
雪は思いがけず少なく、町中の「呑ん兵衛横丁」あたりを千鳥足で歩いても、
寒さがむしろ気持ち良いくらいだ。だからか釜石に行くたびに、
私はいつも呑みすぎてしまう。とれたての魚や山菜など、食べものはとびきりおいしい。
でも、なんといっても、人がいい。

 知り合いになった当時、新聞記者として釜石に赴任していた女性も、
任地を離れるまで「ここで嫌な思いをしたことが一度もなかった」と言った。

(『希望の再生』はしがきより抜粋)
 

2010年03月

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