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データのおはなし

 私が『就業構造基本調査』(以下、 就調)と最初に出会ったのは、
大学4年生頃でなかったかと思う。卒業後に大学院に進学を決めたものの、
何をどのような勉強をしておけばよいのか、皆目見当もつかない。
今から約20年前の話だ。

 そんな私に、恩師の石川経夫先生から研究のお手伝いをするように
誘っていただいた。手伝いといっても、データ処理能力に特段優れて
いたわけではない私に、先生はこんな仕事を与えた。過去に行われた
実証研究の図表を前に「最新時点までデータを追加してみてください」。

 図書館から借りだした統計書から、関連した表を探し、その数値を
手書きで折れ線グラフに書き込んでいく。その作業のなかで、私は初めて
多くの政府統計に触れた。なかでも抜きん出て分厚い報告書として就調があった。

 あるときは、先生から「とにかく眺めているだけでもいいんです」といわれた
記憶もある。あるときは、先生が研究室を不在にされていたとき、先生の椅子に
腰掛けながら、本当に就調をただ何ページも眺めていた。

 最近はパソコンの利用は当たり前になり、必要なデータはインターネットを使って、
統計局などのホームページにアクセスすればいくらでも入手出来るようになった。
便利なものである。

 だがふりかえってみると、私はあの不便な時代の学生でよかったとつくづく思う。
統計の見方や触れ方について、すばらしいご指導をいただいた。先生からは、
統計をみるときには、数字だけではなく、報告書の前後に掲載されている
調査の概要、用語の解説、標本設計、推定方法、調査票等もしっかり読むよう
アドバイスされた。大学院に入ってからは、夏休みなど時間のあるときは、図書館の
書庫に一日こもって、どんな統計があるのか、探検してみることも勧められた。

 私は思いがけず教える立場になった今、統計について、同じことを学生に伝えている。

 ○

 詳しくは
 月刊誌『統計』7月号(日本統計協会)
 http://www.jstat.or.jp/monthly/index.html 

『2007年就業構造基本調査への期待-「就調」でなければ、わからないこと』

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