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ハイネケン

うれしいことがあったときは
ちょっと奮発して大好きな
ハイネケンビール(210円)
を買って1人祝杯をあげます。

数年前、
「お母さんと一緒じゃないと外出できない」
という20代半ばの女の子がいました。
清潔で長い髪、おしゃれなスカート、
少し濃い目のお化粧。
そのきれいな装いは
「外の人から変に思われるのは絶対イヤなの」
という彼女の強い不安の表出であるかのようで、
外界に一部のすきも見せない鎧かぶと
のように思えました。

約半年の支援を経て、
それからさらに数年経った今年の正月、
彼女から
「○○○の地下△階で働いています」
と年賀状がきた。
○○○は全国誰でも知っている大型小売店だ。

昨日こっそりお店にいってみた。
広い店舗を3周しても
彼女が見つからないので
あきらめかけたところ
目の前で在庫を数え、
メモをしている店員さんがいた。
さっきから一生懸命働いている店員さんだ。
そっと名札をのぞいてみると、Dさんだ!

髪はショートカットになっている!
しかもジーパンをはいている!
かわいいピアスもつけている!
あまりの装いの違いに僕は戸惑ってしまった。

一生懸命在庫チェックをして、品出しをして、
お客さんへの受け答えもしている。もはや、
人と話すときは常に緊張して顔を赤らめていた
僕の知っている彼女ではない。

彼女の数年前の装いは働く人の装いではなかった。
支援をきっかけに「えいやっ」と飛び込んだ社会で
もまれ育てられた結果が今の姿なのだと思った。
もう全然違う世界の住人のような気持ちがした。

声をかければ喜んでくれることはわかるけど、
彼女の真剣な働きっぷりに魅せられて
声をかけることができないまま帰ってきてしまった。

彼女が生き生きと働いている姿がとてもうれしくて
帰り道、ハイネケンを買った。
彼女には今から手紙を書いてみようと思う。


A´ワーク創造館
井村良英

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コメント (3)

加藤彰俊:

ハイネケンの話、何か私にも共感するところがありました。
福祉の仕事で担当させていただいた方が、今は元気になって社会の中で新しい生活をされるようになった時、声をかけたいけれど黙って通りすぎるようにしています。心の中で「声援」を送りながら。

たかはしあい:

誰もお前に声をかけられたくない。

まえだ:

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