「ココロよりカタチ?」
「私、アトピーが治るまで働きません」最初の面談のときに、
静かではあるが、はっきりとした口調で宣言した女の子がいた。
彼女は当時、21歳。短大を卒業し、就職活動もうまくいかなかったのだという。
「なんで?」と恐る恐る聞き返したことを今も昨日のことのように思い出す。
「彼女は、食品関係の勉強を学部でもして、関心もあったので、卒業後に
食品関係の工場へアルバイトの面接に行ったのですが、アトピーなので、
ちょっとといわれてしまって・・・。いい子なんですが・・・。」
口ごもる彼女の代わりに付き添いの人がそう答えてくれた。
21歳の女の子が、もしも本当に面と向かってそんなことを言われた
のだとしたら、そんなショックなことはないだろう。彼女の強い決意にも
僕はうなずくことができた。
いろんな支援をへて、1年後、彼女は、カフェで働くようになっていた。
見違えるようにてきぱきと働き、接客する彼女の姿がそこにあった。
彼女が帰ったあと、スタッフと話した。
「実は彼女、過去にアトピーで仕事断られたことがあるねん。
あのいきいきと働いてる姿信じられへんわ。」
さっと、スタッフの顔色が変わった。
「うん、うちでもたまに、お客さんに言われることあるよ。
アトピーがある彼女は、飲食業に確かに向いてへんかも知れへん。
でも、彼女が一生懸命働いている姿を見ると、自分らも意を正されるし、
何かできへんかなあと思ってしまうねん。今、彼女にはいい病院の情報とか、
調べて伝え、病院も代えて、少しずつアトピーもよくなってきてるよ。
もう少し仲良くなれて、生活習慣のことまで言えるような関係になりたいねん。」
今、彼女の周りには、親身になってくれる他人がいる。
社会的に孤立している状態ではもはやない。
親以外に親身になってくれる人と出会えるか、
それがニートの希望だ。
「ココロよりカタチ?」(2)
梅永雄二先生の『LD(学習障害)の人の就労ハンドブック』(筒井書房)
を読んでいて、「ボトムアップよりトップダウン」という言葉に出会った。
能力を底上げ(ボトムアップ)するよりもLDの人の能力をよく見定め、
彼らに合った仕事、彼らの興味のある仕事を選択し、本人が納得したうえで、
その仕事を行うことが必要、目的指向型(トップダウン)の指導が
重要というお言葉にスーッと気持ちが軽くなった。
アトピーの彼女の例をあげるまでもなく、
「働きたい」という「ココロ」はあっても、
企業から求められる「カタチ」にあわなくて
面接に受からないという青年は多い。
いくら頑張っても求められる「カタチ」に
あわなければどうすればいいのか?
その時は、自分の「カタチ」にあうところを見つけようよ。
もうこれ以上自分を責めなくてもいいよ。
A’ワーク創造館
http://www.adash.or.jp/












