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夏の終わりに

「希望と挫折が生み出す未来」
("中央公論"9月号)

 社会学者の山田昌弘氏は『希望格差社会』で
希望をもてない若者が実現不可能な夢をみる姿を
描いたそうだ。

 街中にはまだまだ就職活動中の学生がいる。
スーツで電車に乗り、手には『面接の達人』。

「○○ちゃん、××に内定したんだって。」
就活中のわれらには、そんな言葉がずしりと重い。

 商社の海外勤務に憧れて通った英会話も、
パソコンスクールも、みーんなみーんなムダだった
のか・・・。
ムシャクシャすると、きまって近くの海へ行く。
すっかり陽の落ちた海は、少し波が高く荒れている。
自分のもとに押し寄せる波に、
「お前がダメだから、就職が決まらないんだよ。」
といわれているような気さえする。

 そんなおり、家に「同窓会のお知らせ」が舞いこむ。
「就職するとなかなか会えなくなると思うので・・・。」
行こうか、行くまいか、悩む。就職が決まってないの
なんて自分だけ?

 「欠席」と書いて返信ハガキを送ったら、幹事の
××から電話がきた。「なんで来ないんだよ。用事
でもあんのかあ。人数少ないから来いよ。」と強引に
誘われ、しぶしぶ行くことに。

 幹事の××とは、昔サッカー部で一緒に練習した
仲間だった。それにしても、いつからこんなに社交的に
なったんだろう。先生にも女の子にも酒をついでまわり、
楽しそうに話している。就職も、とある会社の営業に
決まったそうだ。

 ふと彼が「どうしたんだ。元気ないな。」と酒を片手に
現われた。「就職きまらなくて。」
「サッカー部のとき、お前、1度も休まず試合に出てた
だろう。あのときを思えば、なんかできるはずだぜ。
ちょっとやそっとうまくいかなくたってあきらめるな。
さあさ、きょうは飲むぞ!!」

 次の日、朝早く起きて近くの海に行ってみた。
商社勤務なんてちょっとカッコイイけど、安直すぎる。
まだ時間はあると思いなおした。

 そのとき、雲の合間から朝日がこぼれ落ちてきた。
あらたなる挑戦を祝福するように。

                   井上 智晴

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コメント (1)

sss:

朝日新聞で、立命館の高橋伸彰教授が
「小泉流の構造改革というものが
努力する者が報われる社会ではなく、成功した
者が報われる社会にしてしまった」
と書いていました。

たとえば、ベンチャー企業にしても実際に成功
するのは1500社に一社くらいだそうですが
そこには運や時流に乗ったという要素も多分に
あると思います。
しかし、結果的にそういうものが報われる
社会にしてしまうと、ギャンブルに負けた
多くの敗者が多数出てくるということになる。
夢破れた者は、結局フリーターやニート化する。

もともと、小泉流の改革というのは、努力よりも
本人の持って生まれた才能や資質、もしくは
時の運といったものを重視するような改革に
なってしまっています。

それで何度でもやり直しがきく社会かと
いうと、そちらの方はなおざりで、年功序列や
終身雇用の崩壊といったことが、若者をギャンブル的
な行動に走らせ、フリーターやニートを生み出す
下地になっていると思います。

小泉流の改革というものを改めさせないと
フリーターもニートも増える一方ではないかと
思います。

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